天 野 屋

◇お店の沿革


武さん、政子さんご夫妻
 天野屋は天野武さん(72)と妻の政子さん(63)が30年ほど続けてきた居酒屋である。昔は九大や福大の学生をアルバイトで雇って営業してきた。店を始めた当初は20歳の学生が多く客として足を運んでいたそうだ。そのせいもあって、17:30〜3:00の営業時間を過ぎても客が居座って、営業を終わらせてくれなかったという。しかし、10年ほど前から、客層が学生から社会人に変わり、営業時間も17:30〜1:00になっている。

■学生との思い出

 開店当時、店は学生客でにぎわっていたそうだ。特に医学部・歯学部・農学部の学生はよく店を訪れ、元気のいい姿を見せていた。数日前も卒業生が来店していて、ご主人は「懐かしいね、懐かしい。」と当時のことを振り返った。10年ほど前から学生客がめっきり減ってしまった天野屋。奥さんは「最近は学生が来ない。寂しいですよ。楽しかったですもん。」と語った。

天野屋ノート
 当時のことを思い出してもらうと、ここでも学生を中心とした様々なエピソードが出てきた。天野屋は開店して2・3年たったころから、客が自由に落書きできるノートを店に置くようになった。
 ノートの中には恋愛や進路やバイトなど、様々なことを考え悩みながらも成長していく学生の様子が記録されている。ノートは店に置いておくだけで、誰かがちらちら見ていたそうだが、今ではノートに何かメッセージを残す人がいなくなったということで、表に出てはいない。しかし、そのノートはご夫婦によって今も大切に保存されている。
 今は一階のカウンター席だけで営業している天野屋だが、昔は二階もあり、そこにカラオケを置いていたそうだ。すると学生は長淵剛の『乾杯』や森田公一とトップギャランの『青春時代』は必ず歌って帰っていたという。また、今となっては考えられないが、500円玉を持ってきて、「飲ませてください。」と言ってくる学生もいたという。昔は焼酎が180円(今は250円)だったので、それを飲ませていたそうだ。さらに、久留米からの部活帰りにも学生が店に寄ってくれていたという。その時は店に客がいっぱいだったのだが、その学生は帰らずにずっと外で待っていてくれたそうだ。

■学生の変化

 学生の変化について尋ねると、奥さんは「細くなったよね。昔はこんな大きいのがおったけど。」と教えてくれた。また、学生の生活の変化についても「昔は今みたいにワンルームマンションじゃなくて、共同トイレの下宿でしょ。だから、壁を叩いて『今日バイト休みだから、飲みに行こう』とか、そんなやり取りが普通だったみたい。」と話した。

■九大生に一言

 ご主人は「お世話になりました。おかげで30年も続きました。日本国のために、これからもがんばります。」と、店を支えてきた学生客への感謝の気持ちと今後も店を続けていく決意を明らかにした。

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(C)2008 箱崎九大記憶保存会